自家歯牙移植とは、抜歯を行った部位に親知らずの歯や咬み合わせに関与していない歯を移植するという治療方法です。
全てのケースに適用できるわけではありませんが、可能であれば非常に魅力的な治療法といえます。
当院では開院以来、多くの方に対してこの治療で良好な結果を得る事に成功しています。
自家歯牙移植のメリットとデメリット
メリット |
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デメリット |
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治療の際に、詳しくその他の事もお伝え致します。
当院での症例
症例①
2010年(32歳 女性 当時)
右下の奥歯の根が分割される形で割れており通常なら抜歯ですが、右上に親知らずの歯があった為、移植を行ったケースです。
また、この方は左右の奥歯2本が既に無い為、この歯まで無くなるとお食事の際にも影響が大きくなると考えられます。
移植する親知らずの歯を抜歯した部位に固定します。その後、親知らずの神経を取ります。
2011年 治療終了時
2023年 撮影 術後12年経過
術後12年が経過しますが、移植した歯に問題もありません。歯周病の検査もしていますが、正常値です。
この方は金属製の詰め物を装着しましたが、当時のままです。(全て、保険適応治療です)
症例②
2010年(59歳 男性 当時)
左下奥歯1本を昔に抜歯して、そのままの状態でした。現存する左下奥歯も通常は歯根が2本あるはずですが、1本だけ残っている状態でした。
咬み合わせの力が強くかかる場所なので、左上の親知らずの歯を昔抜歯した所に移植することで、根が1本の奥歯の負担軽減を目的に処置しました。
昔に抜歯した部位なので、当時の歯が生えていた場所が完全に骨で満たされている為、どの位の骨を削る必要があるのか 慎重に移植する親知らずのサイズを計測し、移植歯を行いました。
2023年 撮影 術後13年経過
術後13年が経過しますが、移植した歯に問題はありません。歯周病の検査もしていますが、正常値です。
根が1本しか残っていなかった奥歯もいまだに残っており、検査結果も異常ありません。これは移植歯を新たにブリッジを支える歯として加える事で、
負担が軽減したからではないかと考えています。
症例③(小臼歯部に親知らずを移植したケース)※保険治療非適応
2015年(45歳 女性 当時) 術前の状態
右下ブリッジを支えている歯の根が大きな虫歯になていて、このままでは抜歯を行うしかありませんでした。
この方はたまたま、左上の親知らずのサイズが小さかったので、抜歯した部位にこの親知らずの歯の移植を行いました。
移植する親知らずの抜歯を行い、虫歯になっている歯の根を抜歯しました。そこに移植歯が入るように慎重に骨を削ります。
移植歯を入れ、動かないように固定を行い、しばらくしてから神経を取る治療を行います。
①移植した親知らずが(白矢印)、完全に固定され動揺なども無くなってから、ブリッジを新しく作る為、歯を削り型を採ります。
この時点で既に、移植歯に対しても歯周病検査など行っていますが検査値の異常はありません。
②出来あがったブリッジを装着し処置終了です。この移植を行っていないと、黄矢印の指す前歯を削ってブリッジを作製しなければいけません。
すでに差し歯などが入っている状態ならまだしも、綺麗な前歯を削る事なくブリッジを作る事ができて患者さんも喜ばれていました。